2017年3月11日土曜日

カルテ開示は正義なのか

今日は 

 今日、熊本に飛びます。今、外来。少しヒマヒマです。

 今日はカルテ開示に関して思うところを書きます。

 まずは、カルテ開示とは良いことなのか? ということ。

 カルテ開示は、私、個人的には嫌いです。全く馬鹿げたことと思っています。

 しかし、個人情報保護法の解釈の関係で、どさくさで長い議論に終止符が打たれたようです。

 カルテ開示は、一種の義務みたいなものとなりました。
 
 さて、カルテを誰に開示するのかというと、患者様に対してであります。

 それをどう使うのかというと、患者様が使うのではなく、裁判やら、何やらで、保険屋さんや裁判所で使うのが一般的である。

 あと、地域連携とかで、別の病院の医師が見る、みたいなことも行われつつあるようです。

 これが、今のIT、電子カルテで一気に進んでいる。

 世の中はそのような雰囲気になっている。
 
 しかし、そうなのですか? と言いたいのです。

 カルテには様々なことが書かれています。というか、我々は書きます。

 カルテはその人の病状を記録するものであるが、その人自身を知るために必要なことも書く。

 病気を治すためには、その人を知らねばならないのです。

 例えば、家族関係、交友関係、・・・スポーツ歴 趣味 みたいなこと。
 
 時に、刺青があるとか、ないとか。

 家族の慶弔、病気 など。
 
 あと、その他 なども時には・・・

 よく交通事故関係からカルテを開示してくれ、と言われる。

 患者の同意があれがどうしようもない。もちろん同意書がある。

 しかし、このとき患者様は知っているのであろうか。カルテの内容をである。

 本来なら患者様が、カルテの内容を吟味し、事故による体の故障以外のところに患者本人が墨を入れなければならない。

 また、カルテ開示を求める人や同意書を取りに行った人はそのようなことを逐一患者に説明しなくてはならないと思う。

 地域包括ケアでも、その地域でその患者(利用者)に関わる医療機関、介護施設でカルテを共有できたら、という試みもある。

 しかし、こんなところで公開でもしたら、膨大な人がカルテを見ることになる。良いのか?

 自分のこと、身内のころが赤裸々に暴露されることもある。

 言ってか、言わずかは分からないが、「先生と俺の関係だから話すんだよ」ということもあると私は思っている。

 医師ならば、守秘義務というものを叩き込まれている。

 だからと言って、他の医師にカルテをそのままお見せしてしまって良いのだろうか。

 しかし、介護職員も見るとなるとどうなのか。すごい数の人が見ることになる。

 介護職員さんは、全員守秘義務を分かっているのだろうか。

 全員が体の底から分かってるのであろうか。

 また、裁判ともなれば、それは一般世間に公開されるのである。
 傍聴席に誰がいるのかは分からない。
 それで本当に良いのか。

 したがって、カルテを公開する場合、我々は常に患者の同意を取る必要がある。

 しかし、その時には「ここにサインして」ではなく(現在ではこのような感じが多い)、本当にかなりの説明をしなければならないと思う。

 おそらくは、不同意となるケースも多々あるであろう。

 交通事故にせよ、地域連携にせよ、病状について我々がサマリーを書けば良いことなのだ。
 それでことは足りるし、読む方にしても、効率が良いのである。
 
 こう考えるとカルテ開示はなにも正義ではないと思う。

 皆様もよくよく注意しましょう。


 伏見啓明整形外科 札幌骨粗鬆症クリニック 橋本英樹

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